診療支援
治療

メタボリックシンドローム
metabolic syndrome
小山英則
(兵庫医科大学主任教授・糖尿病内分泌・免疫内科学)

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GL肥満症診療ガイドライン 2022

GL高齢者肥満症 診療ガイドライン 2018

GL小児肥満症診療ガイドライン2017

GL日本人の肥満2型糖尿病患者に対する減量・代謝改善手術の適応に関するコンセンサスステートメント(2021)

ニュートピックス

・肥満の外科治療(減量・代謝改善手術)の普及.

・肥満症治療薬の臨床開発進展.

治療のポイント

・メタボリックシンドロームは内臓脂肪肥満をもとに,血糖高値,血圧高値,脂質異常症のうちいずれか2項目を合併した病態を指す.

・血糖,血圧はそれぞれ糖尿病,高血圧の診断に至らない境界型糖尿病,正常高値血圧を含むこと,脂質異常症は内臓脂肪蓄積と関連の深い高中性脂肪(TG)血症,低HDL-C血症を指し,高LDL-C血症を含まないことがポイントである.

・治療の根幹は内臓脂肪の減少を目指すことである.すなわち,内臓脂肪の減量により高血糖,血圧高値,脂質異常症も改善が得られることが多い.

・日常臨床において内臓脂肪の減量は,体重と腹囲の測定によりモニターできる.

・食事療法,運動療法を中心とした生活習慣の指導をまず実施する.過度なエネルギー摂取制限による食事療法は筋肉量の減少をきたしやすいため,適切なエネルギー摂取に有酸素運動の併用を指導することが望ましい.

・一般的に6か月程度の間に3%以上の体重減少が達成されれば,高血糖,高血圧,脂質異常症も改善することが多い.

・メタボリックシンドロームは,糖尿病,高血圧や心血管疾患などを高リスクで発症する個人を健診などで特定する包括的な疾患概念であり,生活習慣改善による減量により疾病発症の予防が期待できる.そのため,生活指導なしに個々の血糖高値,血圧高値,脂質異常症に対する薬物療法を先行することは一般的ではない.ただし,著明な高血糖,重度の高血圧や,心血管疾患のハイリスク患者で個々のリスク因子に早急に介入する必要が

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