好酸球性食道炎・好酸球性胃腸炎

eosinophilic esophagitis（EoE），eosinophilic gastroenteritis（EGE）

福家辰樹

（国立成育医療研究センター・アレルギーセンター 総合アレルギー科診療部長（東京））

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ＧＬ幼児・成人好酸球性消化管疾患診療ガイドライン（2020）

治療のポイント

・好酸球性食道炎（EoE）と好酸球性胃腸炎（EGE）では，治療の第1選択薬と効果不十分の際のステロイド療法がそれぞれ異なる．

・EoEはPPIを第1選択薬とする．EGEでは状態が許せばモンテルカストを第1選択薬として用いる．

・食物の関与が明らかな場合は食事療法を行う．

◆病態と診断

A病態

・好酸球性消化管疾患（EGIDs：eosinophilic gastrointestinal disorders）は，好酸球の消化管局所への異常な集積から好酸球性炎症が生じ，消化管組織が傷害され，機能不全を起こす疾患の総称であり，指定難病である．部位により病名が付与されるが，好酸球性食道炎（EoE）は比較的独立した疾患であり，食道以外の消化管におけるEGIDs（欧米ではnon-EoE EGIDsとよばれる）は，わが国では広義の好酸球性胃腸炎（EGE）として包括的に扱われることが多い．

・国際的にEGEはEoEよりまれな疾患とされるが，日本ではEGEの報告が多い．EoEは2000年以降に欧米で先行して急増し，わが国でも成人を中心に近年患者数が増加している．

・EoEの病態形成にはTh2系の免疫反応誘導と上皮バリア機能異常の両側面が関連するとされ，EGIDsの多くは喘息などと同様に外来抗原などによって惹起される慢性的なアレルギー性炎症性疾患と考えられている．

B診断

・EoEでは，つかえ感といった食道狭窄や機能障害に起因する症状のほか，胸焼けや心窩部痛などがあり，食道粘膜生検で上皮内に好酸球が15個/HPF以上が存在する．胃食道逆流症（GERD：gastroesophageal reflux disease）との鑑別を要するが，しばしばオーバーラップする．

・EGEでは傷害される消化管部位により臨床症状が異なる．内視鏡

初出:今日の治療指針2024年版 発行:2024年1月

収載:医学書院 医療情報サービス（2024年5月17日　掲-ID：c24_05343-00_a013z0015）