頻度 よくみる(3か月以上同部位に繰り返すまたは持続する慢性疼痛は本邦人口の25%前後)
GL慢性疼痛診療ガイドライン(2021)
GL神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン改訂第2版(2016)
GL非がん性慢性疼痛に対するオピオイド鎮痛薬処方ガイドライン改訂第2版(2017)
ニュートピックス
・侵害受容器の興奮もなく体性感覚系の異常もない,すなわち侵害受容性でも神経障害性でもない疼痛をnociplastic pain(痛覚変調性疼痛)として扱う.
治療のポイント
・疼痛の原因や機序を解明して,病態に適した治療を選択する.
◆病態と診断
A病態
・身体的要因が原因の痛みは,下記の3つの病態に分けられる.
1)侵害受容性疼痛:侵害受容器が刺激されて発生する疼痛で,体性痛と内臓痛に区分
2)神経障害性疼痛:体性感覚系に対する病変や疾患によって直接的に引き起こされる疼痛で,神経の損傷や変性などによって生じる痛みであり,末梢神経の異所性発火や下行性抑制系の抑制,脊髄・中枢性感作などが発生
3)混合性疼痛:侵害受容性と神経障害性疼痛の混合
・その他の病態として,痛覚変調性疼痛〔1)にも2)にも該当しない疼痛〕や心理社会的要因が大きく関与している疼痛がある.
B診断
・問診や諸検査から疼痛の原因疾患を診断,さらにWHO-ICD11慢性疼痛の大分類(①慢性一次性疼痛,②慢性癌関連疼痛,③慢性術後および外傷後疼痛,④慢性神経障害性疼痛,⑤慢性二次性頭痛または口腔顔面痛,⑥慢性二次性内臓痛,⑦慢性二次性筋骨格痛)から診断名を選択する.
◆治療方針
治療には薬物療法と非薬物療法があり,単独または両者を組み合わせる.
A薬物治療
薬物療法に関しては,疼痛機序に応じて侵害受容性または神経障害性疼痛に対応する薬を選択する.侵害受容性疼痛には,①アセトアミノフェンまたはステロイド性抗炎症薬,②非麻薬系オピオイド鎮痛薬,③麻薬系オピ