頻度 あまりみない
GL多発性硬化症・視神経脊髄炎スペクトラム障害診療ガイドライン2023
ニュートピックス
・2021年にミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白(MOG)抗体関連疾患の全国疫学調査が実施され,日本の10歳以下発症のMOG抗体関連疾患の34%は急性散在性脳脊髄炎(ADEM)で発症していることが判明した.
治療のポイント
・急性期はステロイドパルス治療が有用であり,難治例に対して血漿浄化療法や免疫グロブリン大量静注療法を併用する.
・MOG抗体陽性の場合は半数以上で再発するため,プレドニゾロンなどによる再発予防治療が勧められる.
◆病態と診断
A病態
・感染症やワクチン接種などを契機に中枢神経に散在性の炎症性脱髄病変を急性にきたす疾患の総称であり,典型例では病理学的に小血管周囲のCD4陽性細胞やマクロファージなどの細胞浸潤と脱髄を特徴とする.
・発熱では説明できない意識障害やけいれん発作などの脳症を伴う.
・小児発症の一部でMOG抗体が陽性となり,MOG抗体関連疾患に含めることもある.
B診断
・中枢神経疾患や自己免疫性疾患の既往がなく,発熱で説明できない急性脳症があり,MRIで散在性の脱髄によると思われる中枢神経病変を認めた場合にADEMと診断する.
・上記臨床症状をもち,血清あるいは脳脊髄液中にMOG抗体がcell-based assay(CBA)法で検出される場合はMOG抗体関連疾患と診断する.
◆治療方針
発熱や全身けいれんに対して対症療法を施しながら,急性期はすみやかなステロイドパルス治療を実施する.ステロイドパルス治療に抵抗性で回復が悪い場合には血漿浄化療法もしくは免疫グロブリン大量静注療法を適用する.
再発予防の有用性は不明である.MOG抗体陽性の場合は再発リスクが比較的高いため,プレドニゾロンやアザチオプリンなどの免疫抑制薬を用いた再発予防を半年程度行うことが勧められるが,予防