診療支援
治療

血管炎性ニューロパチー
vasculitic neuropathy
下島恭弘
(信州大学准教授・内科学第三教室)

頻度 ときどきみる

GL血管炎症候群の診療ガイドライン(2017年改訂版)

ニュートピックス

・C5aの受容体阻害薬であるアバコパンが登場した.抗好中球細胞質抗体(ANCA:anti-neutrophil cytoplasmic antibody)関連血管炎の新たな治療選択として期待される.

治療のポイント

・筋力の低下は急速に増悪することが懸念される.高用量の副腎皮質ステロイドと併用薬剤で,迅速に治療を開始する.

・ニューロパチーの重症度と合併する臓器障害を評価し,原因疾患に即した治療を行う.

◆病態と診断

A病態

・栄養血管の炎症性・虚血性変化に伴う多発単神経炎を特徴とする.

結節性多発動脈炎ANCA関連血管炎などの中・小型血管炎を原因とする.

B診断

・多くは炎症反応が上昇するが,non-systemic vasculitisでは乏しいこともある.

・神経伝導速度検査で軸索変性を証明する.必要に応じて神経生検も考慮する.

・皮疹や尿蛋白など,ニューロパチー以外の臓器障害も確認する.

◆治療方針

 治療のポイントは,①迅速かつ適切な治療導入,②副腎皮質ステロイドの減量と再発防止を目指した併用薬の選択,である.

A初期治療

Px処方例 筋力低下や重要臓器障害を認める場合,下記1)を行い後療法は2)を1mg/kg/日で開始する.感覚障害のみの場合,2)を0.6~0.8mg/kg/日で開始する.

1)メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム(ソル・メドロール)注 1回1g 1日1回 点滴静注 3日間

2)プレドニゾロン錠(5mg) 1回3~6錠 1日2回

B併用治療

Px処方例 筋力低下や重要臓器障害を認める場合,上記に下記1)を併用する.2)は顕微鏡的多発血管炎(MPA:microscopic polyangiitis)および多発血管炎性肉芽腫症(GPA:granulomatosis with poly

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?