頻度 あまりみない
治療のポイント
・尿路・性器結核の症状は非特異的であり,難治性の尿路感染症として遭遇する場合が多い.
・BCG注入療法に関連して起こることもあるが,ほとんどが肺結核を背景として起こる疾患であり,念頭においたうえで詳細な問診をとることが診断の鍵である.
・結核菌は耐性化を起こしやすい病原体であり,厳格かつ適切な長期の多剤併用抗菌薬治療が治療の根幹である.
◆病態と診断
A病態
・尿路・性器結核は肺外結核としてリンパ節・胸膜炎に続いて多いといわれているが,近年新規登録患者数は年間100人弱で推移しており減少傾向となっている.
・尿路・性器結核は一般的に尿路から直接感染をきたすことはまれで,肺結核病変からの血行性感染が主な感染ルートとなる.
・腎から膀胱,膀胱から精巣上体や前立腺などの性器結核をきたし,多彩な尿路不定愁訴をきたす.
・腎結核が進行すると腎杯は石灰化し漆喰腎とよばれる状態となり,機能が廃絶するほか,性器結核の病変も進行すると精管の閉塞をきたし,男性不妊症の原因となりうる.
・血行性感染の発生には免疫力の低下が関連しており,AIDS・化学療法・ステロイド長期内服患者・後期高齢者などがリスク因子としてあげられる.
B診断
・肺結核が背景にあるため既往歴や家族歴など詳細な問診が重要である.
・疼痛を伴わない膿尿と微熱や倦怠感などを主訴とする場合が多いが非典型的であり,無菌性膿尿を認める場合に本症を疑う.
・尿検体中の結核菌を証明することで確定診断となる.簡便だが感度が70%程度と低いチール・ネルゼン染色による抗酸菌染色や,時間がかかるが感受性検査も可能な抗酸菌培養のほかに,特異度が高く迅速に施行可能なPCR法や,IGRA(interferon-gamma release assay)であり感度が高くBCG接種既往に対する偽陽性反応がないQFT-2Gも診断に有用である.
・侵襲性は高い