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GL新生児に対する鉄剤投与のガイドライン2017
GL科学的根拠に基づいた小児輸血のガイドライン(2017)
ニュートピックス
・早産児・低出生体重児に対して,経口鉄剤投与は血液学的所見と身体成長に中等度(GRADE法でmoderate),神経発達は限定的(very low)な効果が示された.
・輸血療法の有害事象として急性肺障害(TRALI:transfusion-related acute lung injury)や壊死性腸炎(TANEC:transfusion-associated necrotizing enterocolitis)が報告されているが,その関連性の検証には課題が残る.
治療のポイント
・早産児では離乳食が確立するまで経口鉄剤を継続する.
・日齢28未満児の輸血時には,母体サイトメガロウイルス抗体を確認する.
◆病態と診断
A病態
・エリスロポエチン産生抑制による造血機能不全(早期貧血)と,貯蔵鉄不足による鉄欠乏性貧血(晩期貧血)である.
・早産・低出生体重児ほど重症化しやすい.
・出血性あるいは溶血性疾患,および先天性造血障害を鑑別する.
B診断
・Hb,Htで貧血を評価する.網状赤血球数は造血機能,フェリチンは貯蔵鉄の評価に用いる.フェリチン値は炎症や肝機能の影響を受ける.
・症状に乏しく急激に進行するため,皮膚色,頻脈,多呼吸,哺乳力低下などを観察する.
◆治療方針
治療の基本は輸血療法の回避と重度貧血による成長発達障害の改善である.早期貧血にエリスロポエチン,晩期貧血に経口鉄剤を投与する.循環血液量を維持するために赤血球輸血を行う.
A遺伝子組み換えヒトエリスロポエチン製剤
Px処方例
エポエチンアルファ(エスポー薬)注 1回200IU/kg 週2回 皮下注
●治療の開始・終了の指標 Hb 12g/dL未満で開始する.10g/dL以上で安定すれば中止する.