頻度 あまりみない
GL小児結核診療のてびき(改訂版)(2021)
GL結核診療ガイド(2018)
治療のポイント
・小児結核は,成人の肺結核の典型臨床像と異なることがあるので,総合的に診断する.
・インデックスケースが特定されていれば,その結核菌培養の感受性結果,治療内容が,小児の治療選択に重要な情報である.耐性結核菌の多い国からの外国人がインデックスケースの場合は注意が必要である.
◆病態と診断
A病態
・Mycobacterium tuberculosis(結核菌)による抗酸菌感染症で,感染しているが発症していない潜在性結核,発症している活動性結核に分類される.
・成人や年長児では肺結核が多いが,乳幼児では肺結核だけでなく,重症の粟粒結核,結核性髄膜炎の頻度が高い.
・あらゆる臓器に感染を起こす肺外結核,新生児ではまれな先天性結核がある.
B診断
・結核患者との接触歴としては,結核菌排菌者や慢性咳嗽者との同居,集団生活などでの排菌者への曝露を聴取する.
1.検査
・喀痰もしくは胃液を採取して,抗酸菌培養とPCRで結核菌を同定するが,小児では排菌がなく難しいことも多い.
・ツベルクリン反応では,BCGワクチン接種歴があれば陽性になることもある.インターフェロンγ遊離試験は血液で簡易に行えるが,5歳未満では感度が落ちるので,ツベルクリン反応と併用する.
・胸部X線,必要に応じて胸部CTなどの画像検査を行う.中枢神経系感染を疑う場合は,髄液検査,粟粒結核などでは抗酸菌血液培養,骨髄検査などを考慮する.
◆治療方針
潜在性結核の検査診断は難しく,同居家族が排菌していたなどの濃厚な接触歴がある場合には,先制または予防的治療を開始する.特に乳幼児では,発症した場合に髄膜炎や粟粒結核などで予後が悪いことがある.
BCG接種後,1週間以内に接種部位の発赤,腫脹が認められるコッホ現象がみられた際は,結核を疑って精査を行