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GL抗微生物薬適正使用の手引き 第2版(2019)
GL小児急性胃腸炎診療ガイドライン(2017)
ニュートピックス
・日本では,2020年10月にロタワクチンが定期接種化された.2020年以降のCOVID-19流行後はロタウイルス胃腸炎の流行を認めていないが,2021年にはノロウイルス胃腸炎の再流行を認めた.
治療のポイント
・重症度(脱水の程度)の評価が重要である.
・経口補水液(ORS:oral rehydration solution)は軽症~中等症の脱水に対する世界標準の治療法である.
・ウイルス性胃腸炎や軽症の細菌性胃腸炎に対する抗菌薬投与は不要である.
◆病態と診断
A病態
・日本での乳幼児嘔吐下痢症の原因はウイルス性がほとんどである.ウイルス性を疑う所見としては,流行性(保育所,幼稚園など),嘔吐,白色便などが,細菌性を疑う所見としては,血便,強い腹痛,しぶり腹などが挙げられる.
B診断
・ウイルス性では,ロタ,ノロ,アデノウイルスの便迅速診断キット(イムノクロマト法)の保険適用があり,細菌性は便培養での診断がgold standardである.
・重症児やハイリスク児で抗菌薬投与を考慮する場合や,院内感染やアウトブレイク時の対応以外では,上記の病原体検査は原則不要である.
◆治療方針
脱水により失われた水分と電解質を補充する輸液療法と,栄養と腸機能の回復を早める食事療法に大別される.
A輸液療法
ORSは,中等症までの脱水(5~10%の体重減少)に対する初期治療として使用されている.しかし,わが国では医療機関へのアクセスが容易で安価なため,経静脈輸液や入院の適応が早い段階で行われる現状があり,経口補水療法の普及が課題となっている.
Px処方例 症状に応じて下記のいずれかを用いる.
1)経口補水液:低浸透圧性ORS(OS-1など) 軽症~中等症:50~100mL/kgを3~4時間