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8 レジオネラ肺炎

Legionella肺炎

市中肺炎の1%を占めるが,重症肺炎では鑑別の上位にあがる.

感染経路は水回り(温泉・24時間風呂・加湿器など)が重要で,10-20%は集団感染で発症する.

潜伏期は2-10日であり,院内で孤発した肺炎では,入院早期なら持ち込み感染の可能性がある.

中年のアルコール依存症で多いが,若年者には少ない.

Legionella感染症はポンティアック熱とLegionella肺炎に分けられる.

▶ポンティアック熱(Pontiac fever)はLegionella感染の90%を占めるともされるが,実際の頻度はよく分かっていない.

▶ポンティアック熱はインフルエンザ様症状(発熱・頭痛・咽頭痛・筋肉痛・関節痛)を呈するが,5-7日以内で自然回復する疾患である.肺炎は呈さない.

▶稀ではあるが細胞性免疫不全患者では心筋炎・心外膜炎・開心術後症候群・人工弁心内膜炎・副鼻腔炎・蜂窩織炎・膵炎・腹膜炎・腎盂腎炎といった肺外病変を起こすことがある.


市中肺炎の中で日本では1%程度〔Lancet. 2003 Dec 13; 362(9400): 1991-2001〕という報告が多いが,欧米では8%程度〔Am J Respir Crit Care Med. 2007 May 15; 175: 1086-93〕と多い.

▶呼吸不全を呈する肺炎では肺炎球菌性肺炎(18.2%)についでLegionella肺炎が多い(14.4%)〔Chest. 1991 Oct; 100(4): 1007-11〕.


感染経路

▶市中感染の感染源:クーリングタワーの冷却水,循環式浴槽水,温泉,加湿器,工事現場の塵埃・腐葉土

▶院内肺炎の感染源:老朽化した給湯設備の水,病室の加湿器,レスピレーターの水

▶ヒト-ヒト感染の報告はない.


リスク要因

Legionella肺炎の臨床所見

39℃以上の発熱を呈することが多い.

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