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7 くも膜下出血

くも膜下出血

脳血管障害の1割を占める.

女性に多く,他の脳血管障害と比べると若年者にも多い.

1/4の症例で初診時に誤診されるが,特に軽症例で誤診が多い.また,予後が悪いくも膜下出血のうち1/4が誤診のために予後不良となっていると推定されている.

誤診症例の解析

▶Hunt & Hess grade Ⅰ-Ⅱの症例では初診時に見逃すと死亡率はOR=3.4(1.0-11.2)で上昇する〔JAMA. 2004 Feb 18; 291(7): 866-9〕.

□Hunt & Hess分類(1968)

くも膜下出血のリスク要因

第一度近親者にくも膜下出血の家族歴がある場合および多発囊胞腎やMarfan症候群はくも膜下出血のリスク要因である.

喫煙,高血圧,アルコール多飲は修正可能な3大リスク要因である.

多発囊胞腎はくも膜下出血の2%を占める.

Marfan症候群,Ehlers-Danlos症候群やneurofibromatosis type 1もくも膜下出血と関連するが,くも膜下出血の中で占める割合は高いものではない.

くも膜下出血の病歴

頭痛が主訴であることが多いが,意識障害にて受診した場合は頭痛を訴えないこともある.

頭痛は突発(数分以内に最大に達する)で重度(疼痛スケールで8/10以上)なことが特徴である.

1-2週間以内に先行する突然の頭痛は警告出血(warning leak)と呼ばれ,くも膜下出血の40%に先行して見られる症状だが,誤診の理由となりやすく注意を要する.

脳圧亢進と髄膜刺激で嘔吐を伴いやすい.

くも膜下出血の症候

▶1-2%は急性昏迷状態で頭痛の訴えを欠く〔Brain. 2001 Feb; 124: 249-78〕.

▶嘔気・嘔吐は77%で伴う〔Ann Emerg Med. 1989 Nov; 18(11): 1199-205〕.


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