診療支援
治療

全身に膿疱を認める疾患
Diseases showing general pustulosis
杉浦 一充
(藤田医科大学教授)

【膿疱とは】水疱内に好中球または好酸球が集簇したものである.膿疱を認める疾患は「微生物による膿疱」と「無菌性膿疱」に分けられる.局所に膿疱を認める疾患は皮膚カンジダ症,掌蹠膿疱症,好酸球性膿疱性毛包炎など多岐にわたるが,本項では全身に膿疱を認める疾患について述べる.一部の水疱症では膿疱を混じる場合があるため鑑別が必要である.

【全身に膿疱をみたら】次の病態・疾患に留意する(表1-39)①無菌性膿疱(膿疱性疾患):膿疱性乾癬(GPP),急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP),角層下膿疱症,再発性環状紅斑様乾癬,deficiency of interleukin 1 receptor antagonist(DIRA)など.②無菌性膿疱(水疱症):Duhring疱疹状皮膚炎,線状IgA水疱性皮膚症,落葉状天疱瘡など.③微生物による膿疱:伝染性膿痂疹など.

□鑑別のポイント‍ 

1.無菌性膿疱(膿疱性疾患)

①GPP:急性汎発性膿疱性乾癬(von Zumbusch型),疱疹状膿痂疹,小児汎発性膿疱性乾癬,稽留性肢端皮膚炎の汎発化を含む.発熱や関節炎などの全身症状を伴う.舌病変を認めることがある.原因は長らく不明であったが,遺伝子検査でIL36RN遺伝子あるいはCARD14遺伝子の変異がみつかることもある.②AGEP:薬疹の1つであり,原因となる薬剤を服用していたか問診が重要になる.原因薬剤を中止したあとに比較的すみやかに皮疹が改善することが多い.しかし,重症のAGEPはGPPと鑑別不能である.③角層下膿疱症:中年で発症する.間擦部体幹に発症し,全身症状を伴わず,すみやかに痂皮化する.④再発性環状紅斑様乾癬:環状の紅斑と膿疱を特徴とし,全身症状を伴わない.⑤DIRA:生下時より全身の膿疱と関節炎を発症する.IL1RN遺伝子の変異が原因である.

2.無菌性膿疱(水疱症)

 水疱に膿疱を混じる皮疹で

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