病態
結節性痒疹は本邦の「痒疹診療ガイドライン2020」において慢性に経過する痒疹の1つとして位置づけられている.病理組織学的には真皮の浸出反応を伴う炎症反応であり,リンパ球,好酸球,好塩基球の浸潤を伴い,表皮肥厚と真皮成分の増殖を認める.
【頻度】結節性痒疹の詳細な疫学情報はない.日本皮膚科学会による多施設横断四季別全国調査では痒疹(病型分類なし)は皮膚科受診患者の約2%であった.結節性痒疹はHIV感染症で比較的頻繁に認められる皮膚症状として認知されており,HIV感染者の24~36%に認められたとの報告もある.
【病因・発症機序】①結節性痒疹の発生機序の詳細は不明である.結節性痒疹の患者の多くに基礎疾患が確認される.アトピー性皮膚炎やアトピー素因の背景をもつ症例も多い.wet dressingや保湿保護外用薬の密閉療法が奏効したとする報告もあり,乾燥は要因の1つと考えられる.②結節性痒疹の発症にかかわる要因についていくつか報告がある.カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP:calcitonin gene-related peptide)やサブスタンスPなど神経ペプチドに対する感受性の高い末梢神経が真皮で過剰に増加・増生しており,病態への関与が示唆されている.病理組織学的には肥満細胞,好酸球,好塩基球,真皮ランゲルハンス細胞や樹状細胞の増加が認められる.活性化した肥満細胞や好塩基球からの化学伝達物質や脂質メディエーターの脱顆粒,好酸球に由来するeosinophilic cationic proteinなどが結節性痒疹の痒みを生じる誘因の1つとして考えられている.真皮樹状細胞やランゲルハンス細胞などの抗原提示細胞は,痒疹の遷延化にかかわると考えられている.
【臨床症状】急性/慢性痒疹が充実性丘疹あるいは痒疹丘疹であるのに対し,結節性痒疹は径1cm程度に及ぶ半ドーム状あるいは疣状の
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