病態
尿酸は核酸の最終代謝産物であり,de novo合成のほか食品中のプリン体から産生される.体液中の尿酸は,尿酸トランスポーターにより主に尿中に排泄され,体内の尿酸プールは常に一定に保たれる.
高尿酸血症は,尿酸の産生過剰と排泄低下に起因する.高尿酸血症が長期間持続すると,痛風関節炎,痛風結節,痛風腎,尿路結石を生じる.
【頻度】本邦成人男性の30%以上が高尿酸血症であり,このうち約1/20が痛風を発症すると推定されている.エストロゲンは尿酸排泄を促進するため,閉経前の女性患者は少ない.
【病因・発症機序】①尿酸は体液に難溶性であり,溶解限界(6.4mg/dL)を超えると局所に析出する.脱水,低温,血液pH低下,血清尿酸値の急激な変動は,尿酸析出の要因となる.②尿酸塩結晶はインフラマソームを活性化することで,IL-1β産生と好中球遊走を誘導し,痛風関節炎を惹起する.
診断
【鑑別診断で想起すべき疾患】①痛風関節炎:蜂窩織炎,滑液包炎,化膿性関節炎,偽痛風,関節リウマチなど.②痛風結節:環状肉芽腫,リウマチ結節,石灰沈着症など.
【問診で聞くべきこと】食生活や生活習慣,家族歴,薬剤歴,基礎疾患など.
【臨床症状からの診断】①痛風関節炎では,第1中足趾節関節や足関節に激痛を伴う急激な発赤腫脹を認める.②痛風結節は,足趾や耳介,肘頭などの皮膚温が低く物理的刺激を受けやすい部位に好発する黄白色の無痛性結節である.自壊して白色チョーク状物質を排出することがある.
【必要な検査とその所見】①関節滑液や痛風結節から採取した白色内容物を偏光顕微鏡で観察し,負の屈折性を示す針状結晶を確認する.②皮膚生検を行った場合,通常のホルマリン固定では尿酸塩が溶出し弱酸性無構造物質となる.純アルコール固定にすると,針状尿酸塩結晶を観察することができる.
治療
2018年発刊の「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3