診療支援
治療

薬剤性過敏症症候群
Drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS
橋爪 秀夫
(磐田市立総合病院皮膚科部長)

病態

 Drug rash and eosinophilia with systemic symptoms(DRESS)と同一の疾患である.原因薬剤投与後,皮疹,発熱,リンパ節腫脹が出現し,肝腎障害を主体とする皮膚外臓器病変の炎症を併発する重症薬疹である.経過中にヒトヘルペスウイルス-6型(HHV-6)などのヘルペスウイルス科ウイルスの再活性化が高頻度に起こる.

【病因・発生機序】発症初期には制御性T細胞(Treg)が末梢循環・皮膚に多く存在し,薬剤反応性T細胞活性化を抑制している.HLAのある特異的な部位に親和性をもつ薬剤が結合し,アレル不適合HLA骨髄移植と類似して炎症が発症,同時に単球系細胞潜在HHV-6の再活性化の契機となる.循環CD4陽性細胞は,HHV-6侵入受容体であるCD134分子を高発現する.Epstein-Barrウイルス(EBV)が再活性化した患者に対する解析では,皮膚外臓器浸潤CD8陽性細胞のT細胞受容体はウイルス抗原エピトープ特異的配列を有していることから,臓器侵襲の原因は播種したウイルスに対する免疫応答によるものと考えられる.


診断

 経過が重要であるから,本症を念頭において精査を進める.

【問診で聞くべきこと】原因薬剤の多くは2週間~数か月内服していた薬剤で,比較的限られた薬剤(表18-4)が原因のことが多いため,しっかりと薬歴を聴取する.皮疹の出現前に消炎鎮痛薬や抗菌薬が投与されている場合,その薬疹と誤診される場合が多い.

【臨床症状からの診断】(図18-9)38.5℃以上の発熱,多形紅斑型または播種状紅斑丘疹型皮疹(図18-9a)が突然出現するが,その後著明な顔面浮腫・紅斑が出現する(図18-9b).眼瞼周囲は強い浮腫を反映して紅斑はむしろ目立たず蒼白となって抜けてみえる(逆パンダサイン).皮疹は体幹優位の毛包から始まる融合傾向のある紅斑であるが

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