病態
麻疹ウイルスの初感染時に発症するウイルス性発疹症の1つである.一般的に「はしか」といわれる.空気感染により感染拡大するため,伝染力が強い(基本再生産数R0=12~18).
麻疹は,感染症法の5類感染症に指定されており,診断した医師は直ちに保健所を通して都道府県知事に届け出を提出する必要がある.
【病因・発症機序】①麻疹ウイルスは,パラミクソウイルス科モルビリウイルス属に分類されるマイナス鎖1本鎖RNAウイルスである.麻疹ウイルスは気道内のリンパ球,樹状細胞などに感染後,全身の免疫細胞,上皮細胞に感染し,麻疹ウイルスが気道内に放出され,新たに感染拡大をきたす.多くは顕性感染をきたすため,移行免疫が消失する生後6か月以降の小児に好発する.ワクチン未接種者などにみられる成人麻疹もある.麻疹に対する不十分な免疫の状態で麻疹ウイルスに感染して発症する修飾麻疹もしばしば問題となる.②潜伏期間10~