診療支援
治療

1 マイコプラズマ肺炎
mycoplasma pneumonia
石田 直
(倉敷中央病院・呼吸器内科主任部長)

疾患を疑うポイント

●若年者の肺炎で,膿性痰を欠如,咳嗽が強い,白血球数が正常などの非定型肺炎の病像に合致する.

●β-ラクタム系抗菌薬が無効で,マクロライド系,テトラサイクリン系,ニューキノロン系の抗菌薬が有効である.

●家族や周囲に同様の症状を呈する者がいる.

学びのポイント

●若年者の市中肺炎で,最も頻度の高い肺炎である.

●しばしば,集団内流行を起こす肺炎である.

●肺外症状を合併することがある.

●マクロライド耐性肺炎マイコプラズマによる感染症がみられる.

▼定義

 肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)による,肺実質の炎症.

▼病態

 肺炎マイコプラズマは,自己増殖が可能な最も小さい微生物であり,生物学的には細菌に分類される.感染様式は,感染患者からの飛沫感染および接触感染によるが,しばしば学校内あるいは家庭内での集団感染が起こる.

 経気道的に侵入した肺炎マイコプラズマは,気

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