症候を診るポイント
●ほとんどの急性下痢は,腸管の炎症によるものであるが,慢性の場合では腸管の異常に起因しないものもある.
▼定義
水分含量の多い液状の糞便を頻回に排出する状態をいう.急性下痢は1日3~4回以上の排便が2週間以内にみられる状態.慢性下痢は,4週間以上持続するものをいう.
▼病態生理
通常1日あたり,水分摂取量2Lに加え,約7Lの消化液が小腸に流入する.小腸では70~80%が吸収され,回腸末端で泥状となり,残りの水分は結腸で吸収され,糞便中には100~200mL程度の水分が排泄される.
腸管運動は自律神経の支配を受け,さらに消化管ホルモン,心身的因子も関与する.下痢の機序としては,腸管内の浸透圧活性物質による水吸収障害,消化管,特に小腸の分泌異常亢進,腸粘膜構造の破壊,ろ過の増加,腸管運動の異常などが挙げられる.
▼初期対応
急性下痢症と判断したら,下痢による脱水の状態評価をしながら