診療支援
検査

銅〔Cu〕   23点(包)
copper
安田 隆
(吉祥寺あさひ病院副院長)

基準値

●尿

・男性:4.2~33μg/日

・女性:2.5~20μg/日

●血清

・生後6カ月以下:20~70μg/dL

・生後7カ月~18歳:90~190μg/dL

・19歳以上:70~140μg/dL(男性),

      80~155μg/dL(女性)

●血漿 血清値より10μg/dL低い


測定法

・尿:原子吸光法

・血清:比色法


検体量

・尿5mL

・血清0.4mL


日数

・尿:2~6日

・血清:1~4日


目的 ①Wilson病などのCu代謝異常の診断補助,②原発性胆汁性胆管炎の評価,③原発性硬化性胆管炎の評価,④Cu欠乏症の評価


Decision Level

●血清Cu高値

[可能性]貧血(悪性貧血,妊娠による巨赤芽球性貧血,鉄欠乏性貧血,再生不良性貧血),白血病,リンパ腫,感染症,胆汁性胆管炎,硬化性胆管炎,ヘモクロマトーシス,自己免疫性疾患(SLE,RA,リウマチ熱,甲状腺機能低下症,甲状腺機能亢進症,避妊薬やエストロゲンの使用,妊娠,Cuを大量に含む食品などの摂取 [対策]急性で高度の場合はキレート剤投与

●血清Cu低値

[可能性]栄養不良,Wilson病,Menkes病,ネフローゼ症候群(セルロプラスミン尿中排泄),急性白血病の回復期,幼少期の鉄欠乏性貧血(FeとともにCuが造血の際に必要),クワシオルコルや慢性下痢,ACTHやステロイド剤の使用,亜鉛(Zn)過剰摂取,Zn中毒,消化管切除後の吸収不良症候群 [対策]Cu欠乏症の場合にはCu製剤投与,Menkes病ではヒスチジンCuの皮下投与

●尿中Cu高値

[可能性]Wilson病,自己免疫性肝炎,胆汁うっ滞 [対策]Wilson病ではCu吸収阻害薬の投与,キレート剤投与


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 Cuは生体内に広く分布する必須元素で,さまざまなCu含有酵素の活性化に必要で,神経系,造血系,血管系,骨格筋,そして結合組織系の機能に重要な役割を果たし

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