基準値
・Vi抗原(Vi):20倍未満
・腸チフスO抗原(TO):160倍未満
・パラチフスAO抗原(PA):80倍未満
・パラチフスBO抗原(PB):160倍未満
測定法 細菌凝集反応
検体量 血清1mL
日数 3~6日
目的 チフス性疾患(腸チフス,パラチフス)の間接的診断
Decision Level
●いずれかの抗原で基準値以上の抗体価である場合
[高頻度・可能性]Vi20倍以上,TO160倍以上の場合,腸チフスの罹患および保菌が疑われる.Vi抗体価は非感染者では5倍以下であり,薬剤の影響も受けにくいので,抗体価が20倍以上であれば診断価値が高い.PA80倍以上またはPB160倍以上の場合,パラチフス罹患および保菌が疑われる.Vi抗体価以外は再現性が必ずしもよくない場合もある [対策]海外渡航歴や臨床所見との総合的判断,培養検査による菌の検索を行う
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
ヴィダール反応は腸チフス,パラチフスの血清学的診断法であり,細菌凝集反応の1つである.腸チフス,パラチフスに罹患後,患者にはチフス菌やパラチフス菌の菌体成分〔O抗原や莢膜(Vi)などに対する抗体〕が感染後2週間ぐらいから上昇し,4~5週で最高値に達し,しばらく持続した後,徐々に低下する.この血清中の抗体価を定量することで間接的にチフス性疾患の診断の一助となる.
O抗原には加熱処理してH抗原を失活させた腸チフス菌,パラチフスA菌,パラチフスB菌を,Vi抗原にはシトロバクターV型菌(バレラップ菌)を用いる.このように4種類の菌液を用いるのは,菌種がそれぞれ複数の抗原決定基をもち,その一部は別の菌種に共通の抗原として存在し,かつその組み合わせは菌種によって異なるため,感染した菌種によって出現する抗体が異なるので感染者の血清中にどの型の抗原に対する抗体が出現しても,検出を可能にするためである.なお,バレラップ菌はサル
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