基準値 陰性
測定法 ラテックス凝集法
市販検出用試薬がある
・O157チェック「LPS抗体」(LSIメディエンス)
検体量 血清100μL
日数 10分(判定時間)
目的 腸管出血性大腸菌O157感染症(感染症法では三類感染症)の診断のうち,溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome;HUS)発症例でのみ確定診断となり,三類感染症届出基準に合致
Decision Level
●陽性
[高頻度・可能性]腸管出血性大腸菌O157感染症による出血性大腸炎,急性胃腸炎,HUS,急性脳症などが疑われる.しかし,HUS発症例を除いて,大腸菌O157LPS抗体の検出のみで本菌感染症を確定診断することはできない.ベロ毒素非産生の大腸菌O157(非病原菌),あるいは大腸菌O157と共通抗原を有する細菌(Citrobacter freundii,Escherichia hermannii,Hafnia alveiなど)の感染による抗体の上昇も否定できない.しかし,HUS発症例においては,大腸菌O抗原凝集抗体(大腸菌O157LPS抗体など)の有意上昇が確認されれば,腸管出血性大腸菌感染症(3類感染症)として確定診断できる [対策]糞便からの大腸菌O157の分離と,分離した大腸菌O157のベロ毒素産生性試験が最も重要であるので,可能な限り試みる
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
腸管出血性大腸菌O157が腸管内で定着・増殖(感染)したときにベロ毒素(志賀毒素様毒素)を産生する.そして,この毒素の作用によって出血性下痢や激しい腹痛が起きる.またときに,本毒素は,腎臓に存在するレセプター(Gb3)に結合して,HUSを惹起する.これらの過程でO157LPSに対する血中抗体(IgMおよびIgG)が産生されることが知られている.しかし,本法で陰性と診断されても,本菌感染症を否定するものではない.
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