診療支援
検査

ムンプスウイルス抗体  
mumps virus antibody
森兼 啓太
(山形大学医学部附属病院検査部長)

基準値

・EIA:陰性(IgG:2.0未満,IgM:0.8未満)

・HI:血清8倍未満,髄液8倍未満

・CF,NT:血清4倍未満,髄液1倍未満


測定法 EIA,HI,CF,NT


検体量 血清0.2mLまたは髄液0.4mL


日数

・CF,HI,EIA:2~4日

・NT:7~13日


目的 ムンプスウイルスによる感染が疑われる場合の感染の有無の判定およびワクチン効果の評価


NOTE‍ 保険点数:79点〔ウイルス抗体価(半定量)〕,206点(グロブリンクラス別ウイルス抗体価:IgG, IgM)


Decision Level

●高値

[高頻度]流行性耳下腺炎,髄膜炎,全身感染症〔膵炎,精巣(睾丸)炎,卵巣炎など〕,ワクチン接種後 [対策]必要に応じ,ウイルス分離,抗原検査,RT-PCR法による核酸検出を行う.合併症に注意し,それぞれの臓器別検査を進める


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 ムンプスウイルスは,パラミクソウイルス科パラミクソウイルス亜科ルブラウイルス属に属し,1本鎖RNAをもつ直径約200nmの比較的大型のエンベロープをもつウイルスである.流行性耳下腺炎の病原体で,感染経路は主に飛沫感染で,約30%が不顕性感染で終わる.好発年齢は5~6歳であるが,成人罹患例もあり,一度罹患すると終生免疫となる.流行は春に多い傾向であり,地域的に限局していることが多い.

 流行性耳下腺炎の合併症として,無菌性髄膜炎が知られている.また,ウイルス血症を起こす全身感染症の1つであるため,各臓器が侵襲を受け,成人ではこれによる精巣(睾丸)炎や,卵巣炎が不妊の原因となることがある.

 ワクチンによる予防が可能な疾患である.


[関連する検査]

①髄膜炎の場合,髄液中細胞数が増加する.②膵炎の場合,血清アミラーゼ活性が上昇する.


判読

①CFは感度は不十分であるが,特異性は良好である.ペア血清で4倍以上の上昇,単一血清でも32倍以上あれ

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