診療支援
検査

特発性間質性肺炎(IIPs)
野田 裕道
(NTT東日本伊豆病院・呼吸器科部長)

病態

 肺の間質(主として肺胞隔壁)を病変の主座とする原因不明の炎症性肺疾患群の総称.特発性肺線維症(IPF)は最も代表的なサブタイプ


[参考]

 特発性間質性肺炎診断と治療の手引き2022(改訂第4版)


異常値

・胸部X線 下肺野を中心とするびまん性粒状網状陰影.進行した場合,蜂巣状陰影,肺容積減少による横隔膜挙上などを呈する

・胸部CT(HR-CT) すりガラス影,斑状陰影,粒状網状陰影,牽引性気管支拡張陰影,胸膜下より広がる蜂巣状陰影

・呼吸機能検査,血液ガス 拘束性障害,拡散能低下,PaO2の低下,A-aDO2の開大

・血液検査 赤沈亢進,CRP上昇,LD上昇,KL-6上昇,SP-A上昇,SP-D上昇


経過観察のための検査項目とその測定頻度

●胸部X線‍ [急性期]急性(増悪)期には連日~隔日ごとに撮影.回復に従い撮影間隔をあける [安定期]経過観察のため2~3カ月ごとに撮影

●血液ガス‍ [急性期]急性(増悪)期には人工呼吸管理を含めた酸素療法が必要となり連日~隔日ごとに測定.回復に従い間隔をあける [安定期]不要(パルスオキシメータにて代用)

●胸部CT(HR-CT)‍ [急性期]病状を把握するため至急に撮影.1~2週後に治療効果判定のため撮影 [回復期]1~2カ月ごとに撮影 [安定期]1年に1~2回程度撮影

●血液検査‍ [急性期]白血球数,CRP,LDなどを週に1~2回以上測定 [安定期]KL-6,SP-A,SP-Dを含め1年に1~2回測定


診断・経過観察上のポイント

①日本呼吸器学会より臨床病理学的疾患単位でのIIPsの分類がなされている.②(1)慢性の線維化をきたす間質性肺炎として,1.特発性肺線維症(IPF),2.特発性非特異性間質性肺炎(iNSIP).(2)急性または亜急性の間質性肺炎として,1.特発性器質化肺炎(COP),2.急性間質性肺炎(AIP).(3)喫煙関連の間質性肺炎

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