診療支援
検査

急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
海老原 明典
(東海大学医学部付属東京病院教授・呼吸器内科)

病態

 多様な原因(敗血症,多臓器性外傷,急性膵炎,誤嚥性肺炎など)から発症する,肺血管内皮細胞傷害による透過性亢進型(非心原性)肺水腫を伴う急性呼吸不全である.急性肺傷害(ALI)という用語は使用されなくなった.2012年に提唱された診断基準(Berlin定義)によれば,①臨床的誘因や呼吸症状の発現・増悪から7日以内の急性発症であり,②胸部画像で両側の透過性低下があり,これが胸水,無気肺,結節性病変の存在では説明できず,③肺水腫の原因が心不全や輸液過剰ではないと考えられる場合である.このとき,リスクファクターがない場合は静水圧性肺水腫を除外するために客観的評価(心エコーなど)を要する.そして,④酸素化〔PaO2/FiO2(以下,P/F)〕の程度により,ARDSをmild(軽症), moderate(中等度),severe(重症)に分類する.

・mild:200<P/F≦300,PEEPおよび

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