診療支援
検査

興奮伝導障害,完全房室ブロック,不完全房室ブロック,心室内伝導障害
青沼 和隆
(水戸済生会総合病院循環器センター最高技術顧問)

病態

 刺激伝導系における刺激興奮伝導の遅延・途絶


[参考]

 ①2022年改訂版 不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン.p29-31,p34-37,②不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版).p19-23


異常値

●心電図

●房室伝導

P-R間隔 通常は0.20秒未満であり,0.20秒以上であれば1度房室ブロックと診断する

Pに対するQRSの対応による房室ブロックの分類 ①1:1で対応し,P-R延長→1度房室ブロック.②PRが漸増した後QRSが欠落,QRS欠落後のPRが欠落直前のPRより小→2度房室ブロックWenckebach型.③PRの漸増なく突然QRSが欠落→2度房室ブロックMobitzⅡ型(この型の75%がQRS>0.12秒).④PとQRSとの関連性なくPP<RRである場合→3度房室ブロック(完全房室ブロック)

●心室内伝導障害 His束より下流(脚以下)の伝導障害であり,以下の分類が可能である

QRS≧0.12秒 →①V1で高く幅広いR波,V6で深く幅広いS波→完全右脚ブロック(CRBBB).②V1で深く幅広いS波,V6で高いR波→完全左脚ブロック(CLBBB).③上記①または②のいずれでもないとき→心室内伝導障害(IVCD)

QRS軸偏位があり,QRS<0.12秒の場合 →①左軸偏位.-30°~-90°(Ⅰ,aVL誘導が正常電位~高電位でⅡ,Ⅲ,aVF誘導にq波または深いS波を伴えば)→左脚前枝ブロック〔CRBBB(QRS>0.12秒)を伴う場合は2枝ブロック〕.②右軸偏位.+100°~+180°(Ⅱ,Ⅲ,aVF誘導が正常電位~高電位でⅠ誘導にq波または深いS波を伴えば)→左脚後枝ブロック〔CRBBB(QRS>0.12秒)を伴う場合は2枝ブロック〕


経過観察のための検査項目とその測定頻度

 従来の心電図が正常QRS幅,QRSが正常電気軸を示していたものが,軸偏位を

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