診療支援
検査

WPW症候群,早期興奮症候群
青沼 和隆
(水戸済生会総合病院循環器センター最高技術顧問)

病態

 房室伝導のバイパス路(副伝導路)が関与する,一般的に頻拍を伴う症候群


[参考]

 ①2022年改訂版 不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン.p42-44,②2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン.p106-109,③不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版).p69-71


異常値

●心電図

洞調律で副伝導路を順行する伝導があるもの ①P-R間隔:0.12秒未満(心室早期興奮).②デルタ波が存在する.③デルタ波を含むQRS幅が延長する(0.12秒以上).発作時の心電図では,通常QRS<0.12秒でデルタ波を認めず(順行路に副伝導路をとらず,房室結節をとるため),QRSの直後に副伝導路を介した逆行性P'波(房室リエントリー性頻拍)〔「発作性上室頻拍」の項参照〕を認める

洞調律時も副伝導路を順行する伝導がないもの(潜在性あるいは不顕性WPW症候群) 副伝導路に順行性房室伝導を有さず逆行性伝導のみの場合は,非発作時の心電図でもデルタ波を伴わず正常P-QRSを示す.不顕性WPWにおいても頻拍時は上記の機序と同様の頻拍所見を呈し,心拍数>170bpmのことが多い


経過観察のための検査項目とその測定頻度

●心電図(心房細動発生時の心電図所見)‍ [副伝導路有効不応期(APERP)]WPW症候群に合併したデルタ波を伴うwide QRS波型で,心房細動発生時は頻拍時のR-R間隔が一定でなく(絶対性不整脈),この最短R-R間隔は副伝導路不応期(AP-ERP)として代用され,治療の緊急性を示す指標となる.AP-ERPが短い場合,心房細動が生じた場合には副伝導路を介したR-R間隔不定の幅広いQRS頻脈(偽性心室頻拍)を呈し,心室細動へ移行する例もあり,突然死のリスクとなるため,注意を要する〔「心房細動」の項参照


診断・経過観察上のポイント

①WPW症候群で発作性頻拍を伴わない症例で

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