診療支援
検査

大動脈瘤
高橋 敦彦
(日本大学短期大学部教授・食物栄養学科)
久代 登志男
(ライフ・プランニング・センター理事長・日野原記念クリニック所長)

病態

 大動脈壁の一部の全周または局所が紡錘状,嚢状に拡張し拍動性の腫瘤となったもの〔大動脈の直径が正常径の1.5倍(胸部;4.5cm以上,腹部;3cm以上)〕


[参考]

 大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン2020年改訂版


異常値

・胸・腹部X線 拡大した大動脈,石灰化(正面像:上行大動脈;輪郭に連続して右方に突出する陰影,弓部大動脈;左第1弓部分の腫瘤状陰影,下行大動脈;大動脈の輪郭に連続する紡錘型または円形の陰影)

・超音波 大動脈(最大短径)拡大,壁肥厚,壁在血栓,石灰化,大動脈弁閉鎖不全

・CT(単純,造影) 大動脈(最大短径)拡大,壁肥厚,壁在血栓,石灰化

・MRI(MRA) 大動脈(最大短径)拡大,壁肥厚,壁在血栓,高度の石灰化病変でも内腔の評価ができる

・血管造影(含むDSA) 大動脈拡大(診断的役割は少ない)


経過観察のための検査項目とその測定頻度

●胸・腹部X線‍ [定期的スクリーニング]6カ月~1年ごと 瘤の増大傾向が早いときは頻回に検査を行う

●超音波‍ [定期的スクリーニング]6カ月~1年ごと 瘤の増大傾向が早いときはさらに頻回に検査を行う.「CT」の項参照

●CT(単純,造影)‍ [急性期]直ちに [定期的スクリーニング]6カ月~1年ごと.詳細は「大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン(2020年改訂版)」を参照されたい.胸部大動脈瘤:①嗄声・嚥下困難,②胸部X線上の大動脈陰影の拡大,③胸部CTの際に偶然発見,④心エコーの際に偶然発見された場合,胸部CTにより瘤径〔最大短径(外径)〕を評価する.径が4.5cm未満(または4.5~5.5cmでMarfan症候群などの遺伝性大動脈疾患,先天性大動脈二尖弁でない場合)であれば半年後にCTを再検し,拡大がなければ1年後にCTを再検.0.5cm/半年未満の拡大があれば半年後にCTを再検.0.5cm/半年以上の拡大があれば全身状態評価

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