診療支援
検査

マイコプラズマ肺炎(非定型肺炎)
平井 由児
(東京医科大学八王子医療センター感染症科教授)

病態

‍ Mycoplasma pneumoniaeによる頑固な乾性咳嗽を伴う呼吸器感染症.代表的な市中肺炎の病原体の1つ


[参考]

 成人肺炎診療ガイドライン2017


異常値

●動脈血ガス分析 呼吸回数の増加を伴う,低酸素血症,動脈血酸素飽和度低下

●胸部単純X線写真 すりガラス状の間質影と大葉性肺炎様の浸潤影の混在,非定型肺炎では非典型的な画像所見がむしろ典型的といえる

●マイコプラズマ抗原 咽頭ぬぐい液を用いて迅速検査が可能ではあるが補助的検査方法であり,本検査をもってマイコプラズマ肺炎を否定することは困難である

●マイコプラズマLAMP/PCR法 より感度の高い喀痰や,咽頭ぬぐい液を用いてマイコプラズマ遺伝子を検出する.現実的には病原体の存在を根拠とする確定診断が可能な唯一の方法といえる

●マイコプラズマ抗体価(PA法) 急性期および2週間後(回復期)のペア血清で4倍以上の上昇,もしくは単回でマイコプラズマ抗体(PA法)320倍以上であればマイコプラズマ感染症と診断できる.感染早期では偽陰性となる場合があり,否定を行うことは困難である

●マイコプラズマIgG,IgM 感染早期であればIgMのみの上昇を認めることがあるが,IgG陽性は既往との区別が困難である.特に成人は単回の検査は信頼できない

●寒冷凝集反応 マイコプラズマ肺炎の約半数で陽性(256~512倍)となるが,非特異的でありマイコプラズマ肺炎を確定診断するための検査ではない


経過観察のための検査項目とその測定頻度

 ●肺炎の改善を示すパラメータは呼吸回数を含む酸素化の改善である.軽症であっても肺炎に関連した症状が発症後28日を経過しても残存していることがある.炎症反応を改善の指標とするプラクティスは基本的には存在しない

 ●肺炎では回復期であっても反応性に発熱や炎症反応の上昇を認めることがある.肺炎の治療効果をWBCやCRPで判定する

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