診療支援
検査

小児の発疹性疾患(感染症)
大西 宏明
(杏林大学医学部教授・臨床検査医学講座)

病態

 大部分がウイルス感染症であるが,一部に細菌感染もみられる.ウイルス感染で有名なのは麻疹・風疹であるが,予防接種の普及により激減している.実際に多くみられるのは突発性発疹症,手足口病,水痘,伝染性紅斑,アデノウイルス感染症,伝染性単核球症,Gianotti病などであるが,症状からは原因ウイルスを特定できない発疹症も多い.細菌感染では,溶連菌に伴うものが圧倒的に多いが,マイコプラズマ感染でもしばしば発疹を認める.また,黄色ブドウ球菌・溶連菌による伝染性膿痂疹も頻度が高い.症状は各病原体に応じた特有の発疹以外に,発熱,口腔内病変,リンパ節腫脹などを伴うことがある.なお,発熱性発疹症では,鑑別診断として川崎病を常に念頭におく必要がある


異常値

・鼻咽頭ぬぐい液の抗原検査 溶連菌,マイコプラズマ,アデノウイルスなどの感染において,それぞれの特異的抗原検査で陽性となる

・水疱内容物ぬぐい液の抗原検査 水痘でVZVウイルスが検出される

・血中特異抗体検査 いずれの感染症でも時期により陽性となるが,特にEBウイルス,サイトメガロウイルス,マイコプラズマの感染で診断に用いられることが多い

・血中抗原検査 Gianotti病ではHBs抗原,HBe抗原が陽性となる

・血液・尿・咽頭ぬぐい液のウイルス核酸検査 麻疹・風疹など,公衆衛生上必要な場合に行われることが多く,それぞれの核酸が検出される


経過観察のための検査項目とその測定頻度

・血中特異抗体検査 特異的IgG抗体は発症から2週間程度で上昇するが,既感染との区別を行うためには発症初期とのペアで測定するのが望ましい.特異的IgM抗体測定は発症初期(数日中)に行うことが望ましい


診断・経過観察上のポイント

①大部分のウイルス性発疹症は症状による診断が可能で,重症化も少ないため検査は不要であるが,原因不明の発疹が長引く場合や重症例では診断確定のために病原体同定を

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