A.疾患・病態の概要
●心拍数60/分未満を徐脈と定義する.しかし,徐脈そのものだけでは病的とはしない.心拍数の低下により,心拍出量が低下し,臓器低灌流による症状を呈する場合が病的である.心拍出量(CO)=心拍数(HR)×1回拍出量(SV)である.ある程度のHRの低下にはSVを増加させて対応できるが,極度の心拍数低下ではCO低下となって,症状を呈する.持続的な徐脈ではないが,一過性の心停止により失神などの症状を呈する場合も,徐脈性不整脈として扱う.
●治療が必要な徐脈
①徐脈により,自覚症状,他覚症状があれば,徐脈の原因となった不整脈の種類を問わず,症候性の徐脈と診断され,治療が求められる(症候性の徐脈).高齢者では,ただ何となく具合が悪い,最近ぼけが進行したといったたぐいの症状もある.症候性の中でも循環動態が不安定となる場合は早急な対応が求められる(表1図)1).
②安定しているように見えて