診療支援
治療

壊死性軟部組織感染症(ガス壊疽,壊死性筋膜炎)
gas gangrene,necrotizing fasciitis
鈴木宏昌
(帝京平成大学教授・健康メディカル学部)

A.疾患・病態の概要

●蜂窩織炎をはじめとする軟部組織感染症は,日常診療で多くみられる疾患で予後も良好なことが多い.しかし,初期には蜂窩織炎に類似した症状でありながら,急速に進行し敗血症となり致死的経過に発展する疾患群として壊死性軟部組織感染症(NSI)がある.治療が遅れると死亡率がきわめて高く,早期に認知し治療を開始することが重要である.

●筋組織の壊死を主体としてガス産性菌により皮下気腫を伴うガス壊疽(クロストリジウム性ガス壊疽,非クロストリジウム性ガス壊疽)と,筋膜の壊死が主体である壊死性筋膜炎(特殊な壊死性筋膜炎として劇症型A群β溶連菌感染症,敗血症型ビブリオ感染症)がある.非クロストリジウム性ガス壊疽や敗血症型ビブリオ感染症は,特に糖尿病,肝硬変などの免疫能の低下した基礎疾患を持つ患者に起こりやすいが,クロストリジウム性ガス壊疽や劇症型A群β溶連菌感染症は,基礎疾患を持たない健常者で

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