A.疾患・病態の概要
●内分泌・代謝疾患は診断確定後,順調に治療が行われていれば,比較的安定した状態を維持できるが,治療の中断や変更,様々な外的要因により容易に増悪をきたす.
●急性増悪の契機となる外的要因としては,様々な身体的・精神的ストレス,急性疾患の併発,薬剤の副作用,生活環境の変化などがある.
●内分泌・代謝疾患において急性失調症をきたすと,昏睡やショックなど重篤な病態を生じ,生命の危険に陥ることもあるので注意を要する.
●急性増悪時の病態把握のためには,各疾患における臨床的パラメータと,その調節ホルモンとの関係性(例:糖尿病におけるインスリン,電解質調節に関与する副腎皮質ステロイドなど)において評価を行うことが重要である.
B.最初の処置
1治療状況の確認
①あらゆる可能な手段を用いて,診断名(診断時期や診断根拠も)と,現行の治療内容について把握する.他院で加療中あるいは意識障害を伴う場合などは,しかるべく情報提供を求め,家族の話や薬手帳なども参考にして判断する.
②次に治療の遵守状況を確認する.コンプライアンス不良の患者では,通院の中断や不規則な服薬,あるいは自己判断で治療を変更している場合もある.
2緊急性の判断
①最も重篤な病態は昏睡やショックなどであり,バイタルサインの確認・モニターを怠らず,重症度判定の鍵となる検査所見に着目する.検査所見においては,特に感染・炎症の徴候,電解質・水バランス,代謝指標,酸塩基平衡・呼吸機能,心電図などのチェックが重要である.
②内分泌機能の直接評価(血中・尿中ホルモン測定)には時間がかかることが多く,むしろ身体所見や一般検査所見から判断することになる.
3補液
しばしば水・電解質・血糖値などの体液異常が認められ,その補正・管理が必要となることが多い.内分泌・代謝失調が根本的に(当該ホルモンの分泌・作用のレベルで)解決されることが最も有効な治療法で
関連リンク
- 今日の救急治療指針 第2版/急性副腎不全(副腎クリーゼ)
- 今日の救急治療指針 第2版/甲状腺クリーゼ
- 治療薬マニュアル2024/ヒドロコルチゾン《コートリル》
- 治療薬マニュアル2024/ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム《ソル・コーテフ ヒドロコルチゾンコハク酸エステルNa》
- 治療薬マニュアル2024/ヒドロコルチゾンリン酸エステルナトリウム《水溶性ハイドロコートン》
- 治療薬マニュアル2024/インスリン ヒト(遺伝子組換え)《ヒューマリンR》
- 治療薬マニュアル2024/インスリン リスプロ(遺伝子組換え)《ヒューマログ》
- 治療薬マニュアル2024/インスリン アスパルト(遺伝子組換え)《ノボラピッド》
- 治療薬マニュアル2024/インスリン グラルギン(遺伝子組換え)《ランタス》
- 治療薬マニュアル2024/インスリン デテミル(遺伝子組換え)《レベミル》
- 治療薬マニュアル2024/インスリン グルリジン(遺伝子組換え)《アピドラ》
- 治療薬マニュアル2024/インスリン ヒト(遺伝子組換え)《ノボリンN ヒューマリンN》
- 治療薬マニュアル2024/インスリン ヒト(遺伝子組換え)《ノボリンR》
- 治療薬マニュアル2024/ブドウ糖《ブドウ糖 ブドウ糖》
- 治療薬マニュアル2024/プレドニゾロン《プレドニン プレドニゾロン プレドニゾロン プレドニゾロン》
- 治療薬マニュアル2024/レボチロキシンナトリウム水和物《チラーヂンS》
- 臨床検査データブック 2023-2024/副腎皮質刺激ホルモン〔ACTH〕 [保] 189点(包)
- 今日の救急治療指針 第2版/甲状腺クリーゼ
- 今日の救急治療指針 第2版/急性副腎不全(副腎クリーゼ)
- 新臨床内科学 第10版/低血糖症
- 新臨床内科学 第10版/4 急性副腎不全
- 新臨床内科学 第10版/内分泌疾患を理解するためのポイント
- 今日の精神疾患治療指針 第2版/内分泌系の心身症
- 今日の小児治療指針 第17版/下垂体機能低下症