診療支援
治療

意識障害
disturbance of consciousness
長村敏生
(京都第二赤十字病院・小児科副部長)

A.小児ならではのポイント

●意識障害は初期対応の良否が神経学的予後に直結する緊急事態で,意識障害が持続する児は全身管理が必要となるため,直ちに自施設の小児科医にコンサルトするか,小児科専門医が常駐する医療機関へ速やかに搬送することが望ましい.なお,搬送時の呼吸・心停止の可能性があれば気管挿管した上で搬送する.

●意識障害の原因は多様で(表1),約半数は脳以外の原因でも起こりうる.小児でよくみるのは痙攣後(有熱性と無熱性の場合がある),急性脳症,化膿性髄膜炎,低血糖症,中等~重症の脱水,頭部外傷(虐待を含む),薬物中毒(誤飲)など.

●乳幼児は気道内径が絶対的に細く,気道抵抗が大きい上に,口腔内に占める舌の容積が大きく,舌根沈下による気道閉塞を起こしやすい.さらに,成人の喉頭は円筒形であるのに対して,乳幼児の喉頭は円錐形で先にいくほど狭くなっているため,意識障害児をみた時にはまず気道を確保して,呼吸状態の観察と評価を行うことが重要である.

●乳幼児は言葉が理解できないため,意識障害の重症度を判定するためには乳幼児用に修正された評価法を利用する.さらに,個々の乳児間で発達に差があるため,普段の様子に比べてどうなのかを確認することが重要で,その判定には家族(特に母親)の協力が欠かせない.

●小児の意識障害では随伴症状として痙攣を伴うことが多く,その対応についても習熟しておく必要がある.

●意識障害には必ず原因が存在し,予後改善のためには早期診断・早期治療が不可欠であるが,意識障害児の診断を確定する上では家族からの病歴聴取が極めて重要である(ギンナン中毒,薬物中毒,てんかん児の抗痙攣薬怠薬,虐待など).


B.最初の処置

1バイタルサインのチェックと救急処置

1バイタルサインのチェック 脈拍数,呼吸数,血圧,体温をチェックし,全身状態を把握するとともに各種モニターを装着する.バイタルサインの異常が

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