診療支援
治療

解熱鎮痛薬・循環呼吸系薬・外用薬中毒
poisoning with antipyretic analgesics,circulatory,respiratory and external medicines
真弓俊彦
(一宮市立市民病院・救急救命センター長)

Ⅰ.解熱鎮痛薬


A.代表的な物質と病態

1アセトアミノフェン 代謝産物によって肝腎毒性をきたしうる.妊娠中の過量投与では胎児死亡や流産の可能性がある.

2サリチル酸塩 鎮痛薬,湿布薬,局所皮膚軟化薬などがある.様々な毒性作用があり.①中枢神経刺激による頻呼吸,呼吸性アルカローシス,②細胞内で酸化的リン酸化を切断し,ブドウ糖と脂肪酸の代謝を阻害,③脳,肺の浮腫,④血小板機能を低下させ,プロトロンビン時間を延長させる.

3非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) ほとんどのものは過量投与しても軽度の胃腸症状ですむが,メフェナム酸(ポンタール®),ピロキシカム(バキソ®)は過量投与により重篤化する.NSAIDsはシクロオキシゲナーゼの抑制によるプロスタグランジン産生低下などから症状をきたす.

4コルヒチン 細胞分裂を阻害し,高濃度では非特異的細胞毒性をきたす.迅速に吸収され,体内組織に広く分布し,あらゆる臓器を障害し,過剰投与は非常に重篤で死亡率は高い.


B.重症度判断

1アセトアミノフェン 内服4時間以降の血中濃度を測り,ノモグラムを用い重症度を予測する(図1).高濃度のサリチル酸などの要因で偽性高値を示すことがある.

2サリチル酸 急性の服用量が150~200mg/kgでは軽い中毒を生じ,300~500mg/kgでは重症となる.急性服用の場合には,1回の採血では不十分で,緊急採血と連続採血で血清サリチル酸濃度の測定を行い,ノモグラムを参考に評価する(図2).

3非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) 特異的血中濃度の測定は不可能かつ役立たない.痙攣,昏睡,血圧低下など全身状態から判断する.

4コルヒチン 2~12時間後から悪心,嘔吐,腹痛,ひどい血便が生じ,透過性亢進からショックをきたし,8~36時間後に,呼吸不全,ショック,突然の心停止などにより死亡する.心筋障害,横紋筋融解症,DIC,

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