失神とは
定義
失神とは元来一過性の全脳虚血により一時的に意識を失う現象で,一般には数秒〜数分で回復するものを指していた.しかし,この定義はあいまいとなり,現在ではもっと広い意味の一過性意識消失をいうことが多い.すなわち,全脳虚血だけでなく,てんかんによる欠神発作,低血糖発作や心因性失神なども含まれる.
完全な意識消失には至らないふらっとしためまい感のような発作は失神前状態(presyncope)と呼ばれている.また,起立性低血圧による脳虚血などでは,倒れれば脳への血流が回復するので意識障害が数分以上続くことはまずない.一方,心原性失神などでは必ずしも脳への血流がすぐに回復するとは限らないので,発症時には失神から昏睡まで連続的な変化としてとらえる必要がある.
患者の訴え方
失神が医師の目の前で起こることは稀で,多くの場合,病歴から推測することになる.患者も失神している間は記憶がないので,失神前