診療支援
診断

悪心・嘔吐
nausea,vomiting
浅香 正博
(北海道医療大学 学長)

悪心・嘔吐とは

定義

 悪心とは,嘔吐したい,嘔吐しそうだという差し迫った感覚,心理的体験であり,嘔気と同義に用いられる.

 嘔吐とは,胃内容物が食道,口腔を介して排出されることであり,不快感,苦痛を伴う.

患者の訴え方

 悪心では,「むかつく」「吐き気がする」「気持ちが悪い」「げっとなる」など,訴え方は多彩である.患者にとって適切な表現が難しいことが多い.むかつきは嘔吐を伴わない嘔吐様運動であり,厳密には悪心と区別されるが,訴え方からの区別は困難なことが多い.

 嘔吐では,「吐いた」「食べた物が出た」「酸っぱいもの(胃液)が上がってきた」「苦いもの(胆汁)が出た」「もどした」などと表現される.

患者が訴える頻度

 悪心・嘔吐は,実地診療においてしばしば認められる症状の1つである.特に消化器疾患においては高頻度にみられる.たとえば,胃潰瘍では約25%,十二指腸潰瘍では約28%と報告されているが,幽門部狭窄

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