診療支援
診断

肝腫大
hepatomegaly
清澤 研道
(相澤病院消化器病センター 名誉センター長/肝臓病センター 顧問)

肝腫大とは

定義

 肝臓は重量約1,300g(体重の約1/50)で人体中最も大きな臓器である.健常者では肋骨に覆われて触れにくいが,約20%の人では右肋骨弓下に触れることがある.したがって,右肋骨弓下に肝が触れるからといって肝腫大があるとはいえない.一般的には,指の幅2本分(2横指)を右肋骨弓下に触れれば,肝腫大があるといえる.しかし,1横指でも肝に圧痛があり,硬さが増していれば,肝腫大ありといえる.

患者の訴え方

 自ら肝腫大を主訴に来院する場合は稀である.かなり著明な腫大,たとえば肝腫瘍,種々の物質の沈着症の場合に,「右季肋部の張った感じ」「重苦しい」という訴えが多い.また,肝(あるいは肝腫瘤)そのものをしこりとして訴える.多くは,他の症状(上腹部痛,黄疸,全身倦怠感など)で受診した場合に指摘される.

患者が肝腫大を訴える頻度

 肝疾患の患者では,その病気の経過中に,いずれかの時点で肝腫大をきたす

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?