診療支援
診断

不随意運動
involuntary movement
三瀧 真悟
(大田市立病院神経内科 部長)
長井 篤
(島根大学医学部内科学第三 教授)

不随意運動とは

定義

 不随意運動とは,本人の意思に関係なく,勝手に動く,目的のない運動を指す.多くの場合,安静や睡眠で軽快し,動作時には増強する.

 運動の部位,様式により,振戦,舞踏運動,アテトーゼ,バリスム,ミオクローヌスなどの多数の種類に分類される.

患者の訴え方

 患者は,「ふるえる」あるいは「手足が勝手に動く」などと訴える.部位によっては,眼瞼のぴくつきや頭部のふるえなどを他人に指摘されて来院する場合もある.

患者が不随意運動を訴える頻度

 頻度は不随意運動の種類により異なるが,中高年では,安静時振戦はParkinson(パーキンソン)病の頻度が高く,動作時振戦は本態性振戦でよくみられる.甲状腺機能亢進症では細かい姿勢時振戦がみられる.薬物では,β刺激薬やテオフィリンなどの気管支拡張薬による振戦の頻度が高い.

 振戦以外の不随意運動を示す疾患は頻度的には少ない.

症候から原因疾患へ

病態の考え方

 不随意運動をきたす原因はさまざまであるが,本症候が疾患そのものの症状である場合と,基礎疾患に随伴した二次性の症状である場合がある.

 診断のためには,不随意運動の出現部位,様式,状況を観察し,表1に示す各種の不随意運動のいずれにあたるかを検討する.図1,表2に部位ごとの代表的な不随意運動の種類と原因疾患を示す.

 出現部位としては,全身性に出現するか身体の一部のみ(顔面,頸部,眼,舌,口蓋,上肢,下肢など)に認められるか,一側性か両側性か,四肢の遠位部か近位部かを医療面接して観察する.また不随意運動が律動的か非律動的か,間欠性か持続性かの点も参考となる.

振戦(tremor)

 表3に示すように安静時振戦と動作時振戦に分類される.

 安静時振戦は安静時に最も顕著に認め,動作時に減弱あるいは消失する.Parkinson病やParkinson症候群でみられる.

 動作時振戦は姿勢時振戦と運動時振

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