現病歴:妻と子供と3人暮らしの男性.ある朝,妻が起床したときに姿が見えなかったため不審に思い家を出ると,門扉の前で倒れているところを発見して救急要請した.到着した救急隊は糖尿病の既往歴があるため血糖値を測定したが低血糖を認めなかった.救急隊は脳卒中を疑い専門病院を選定して搬送した.妻によれば前日までは特に体調が悪い様子はなかったという.また,患者周囲や自宅内には過量服薬を疑う空の薬包はなかった.
既往歴:高血圧症,2型糖尿病,不眠症.
常用薬:アムロジピン,メトホルミン,ゾルピデム.
生活歴:飲酒なし,喫煙なし.
身体所見:気道;開通しており,いびき様呼吸なし,流涎なし.呼吸;呼吸数24回/分,SpO2 98%(room air),努力様ではない.循環;脈拍110回/分(整),血圧160/90mmHg,四肢に浮腫や冷感なし.中枢神経;Glasgow Coma Scale E1V2M4,Japan Coma Scale Ⅲ-200,共同偏視なし,瞳孔3mm/3mm,対光反射は両側迅速,痛み刺激により四肢を動かす(明らかな麻痺なし).その他;身長175cm,体重90kg,体温37.6℃,頭部に外傷なし,流涙なし,流涎なし,項部硬直なし,皮膚はやや紅色調.
【問題点の描出】
30歳代の糖尿病や高血圧症をもつ男性の突然もしくは急性発症の意識障害.中毒が原因だと仮定するならば頻呼吸,頻脈,血圧高値,微熱,皮膚変化を伴うトキシドロームを推定する.
診断の進め方
特に見逃してはいけない疾患
・くも膜下出血
・脳出血
・髄膜炎・脳炎
・Wernicke(ウェルニッケ)脳症
・CO2ナルコーシス
・一酸化炭素中毒
頻度の高い疾患
・急性アルコール中毒
・てんかん
・低血糖
・ベンゾジアゼピン系抗不安薬中毒
この時点で何を考えるか?
医療面接と身体診察を総合して考える点
意識障害を主訴に受診した患者に対しては診断を推定するプロセスと同