診療支援
治療

【2】低体温
hypothermia
山中 克郎
(福島県立医科大学会津医療センター・総合内科教授)

症候を診るポイント

●深部体温を測定し重症度を決める.

●受動的または能動的加温により,すみやかに復温する.

●心肺蘇生は30~32℃になるまで続ける.復温前に死亡宣告はしない.

▼定義

 低体温とは深部体温が35℃以下に下がった状態である.直腸(または食道)で深部体温を測定し重症度を決める(表1-23)

▼病態生理

 寒冷環境では運動や震えにより体温を37℃に保とうとする.甲状腺機能は高まりアドレナリンが分泌される.熱の喪失を防ぐため末梢血管は収縮し,組織の代謝は低下する.

 一次性低体温とは,健康な人が寒冷ストレスに打ち勝ち体温を維持することができなくなった状態である.二次性低体温は敗血症や甲状腺機能低下症などの疾患のために起こる低体温である.温かい環境でも起こりうる.

 リスクファクターは高齢,慢性疾患,低栄養,精神疾患,ホームレス,薬物中毒である.

▼初期対応

 低体温患者は体位変換などでも不整脈を

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