診療支援
治療

【8】腹部膨隆・膨満
abdominal swelling,abdominal distension
仲里 信彦
(沖縄県立南部医療センター・こども医療センター・総合内科部長)

症候を診るポイント

●腹部膨隆・膨満をきたす原因には腸管ガス,腹水,腹部実質臓器腫大,腫瘤形成などがある.緊急性の高い外科的疾患の除外から始まる.

●腹部膨隆・膨満の原因臓器には消化器系の臓器だけではなく,大血管や泌尿生殖器も挙げられる.さらに生殖年齢の女性は妊娠にも注意する.

▼定義

 腹部膨隆・膨満は腹部全体や局所に膨らみが出現する客観的な徴候である.

▼病態生理

 腹部膨満・膨隆の原因には腸管ガスが貯留する鼓腸,腹水貯留,臓器腫大・腫瘤形成,妊娠および過剰な膀胱充満などがある.

 腸性鼓腸の原因には,①腸管の機械的通過障害いわゆる機械的イレウス,②腸管蠕動運動の機能的障害による麻痺性イレウス,③腸管ガスの増加がある.

 腹水は漏出性腹水と滲出性腹水に分けられる.①漏出性腹水の原因には門脈圧亢進,血管の静水圧上昇,血漿膠質浸透圧低下がある.②滲出性腹水の原因として感染性,炎症性,悪性腫瘍が挙げられる.

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?