診療支援
治療

【1】気道感染症
respiratory tract infection
朝野 和典
(大阪大学大学院教授・感染制御学)

疾患を疑うポイント

●外来を受診する呼吸器疾患のなかで最も多い.

●鼻汁,咽頭痛などの上気道症状と,咳嗽,喀痰などの下気道症状が鑑別のポイント.

●急性喉頭蓋炎など致死的になる可能性のある疾患を見逃さない.

●長引く咳嗽では結核も鑑別する.

学びのポイント

●上気道と下気道の解剖学的構造を念頭におき,症状を理解する.

●上気道感染症はウイルス性の頻度が高いため,抗菌薬の適応となる疾患を鑑別する.

●下気道感染症では,肺炎との鑑別が重要.

▼定義

 気道は,喉頭を境として,解剖学的に上気道と下気道に分けられ,上気道感染症の多くは,ウイルス性の感冒あるいは上気道炎である.臓器特異的感染症としては,中耳炎,副鼻腔炎,咽頭炎,扁桃腺炎があり,喉頭においては喉頭蓋炎/喉頭炎,声門下喉頭炎(仮性クループ)などの感染症がある.

 下気道感染症は,気管炎,気管支炎,細気管支炎があり,一般に肺炎や胸膜炎も含まれる.また,上気道炎

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