診療支援
治療

2 サルコイドーシス
sarcoidosis
瀬戸口 靖弘
(東京医科歯科大学大学院特任教授・統合呼吸器病学)

疾患を疑うポイント

●自覚症状の観点では,最も多い眼症状(霧視,飛蚊症,羞明),健診での胸部単純X線写真でBHLを認めたらサルコイドーシスを強く疑う.

●全身性疾患であることを念頭に表在リンパ節,皮膚所見,筋肉内結節,肝脾腫の有無について身体所見を丁寧にみることは重要.

学びのポイント

●原因抗原に対するTh1細胞による全身性の肉芽腫疾患.

●病理学的には非乾酪性肉芽腫を認める.

●70%は自然寛解するが,難治化するものもある.

●自覚症状では眼症状が多く,肺所見は90%にみられる.

●呼吸不全死より心臓死が多い.

●臓器障害による日常生活の支障,生命予後に影響が出る場合,機能障害の出現が予想される場合,副腎皮質ステロイドの全身投与が第一選択.

▼定義

 原因不明のリンパ節,肺,眼,肝臓,心臓などの多臓器に肉芽腫性病変をつくり病変臓器特異的,非特異的症状を惹起する,また病理学的には,「非乾酪性肉芽腫」を呈する全身性疾患.

▼病因,病態

 明確な原因は明らかになっていないが,体内へ入った病因抗原により誘導されたTh1型細胞免疫反応が亢進することにより全身諸臓器に肉芽腫を形成するⅣ型アレルギー反応の疾患である.肉芽腫が形成された臓器により臨床症状が異なる.抗原に対する免疫反応が継続している間は,活動性があると考えられている.臨床経過は,多様で短期間に寛解するものから治療の有無にかかわらず慢性に持続するものや,時には著しいQOLの低下をみるものまで存在する.原因抗原としては,種々の可能性が報告されているが,結核菌や皮膚の常在菌であるPropionibacterium acnesなどの細菌の関与が疑われている.

▼疫学

 有病率は,0.3~1.7人/10万人で女性に多い傾向がある.20~30歳代と50~60歳代に多いという2峰性を示すが,最近では若年発症が減少する傾向にある.地域的には北海道のような寒冷地に多い

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