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治療

1 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(チャーグ-ストラウス症候群)
eosinophilic granulomatosis with polyangiitis(EGPA),Churg-Strauss syndrome
須田 隆文
(浜松医科大学教授・内科学第二)

▼定義

‍ 気管支喘息などのアレルギー素因を有し,末梢血好酸球増加細小血管の肉芽腫性血管炎を呈する全身性血管炎である.

▼病態

 気管支喘息,アレルギー性鼻炎が先行し,著明な好酸球増加を伴うことから,Th2系免疫応答の活性化の関与が推定されている.組織学的には,好酸球浸潤を伴う肉芽腫性,壊死性細小血管炎を認める.

▼分類

 肺胸膜以外の臓器病変については別項〔第9章の,第12章の,第13章の〕を参照されたい.

肺病変

‍ 肺病変はEGPAの30~60%で合併する.多彩な肺病変がみられるが,好酸球浸潤を伴う好酸球性肺炎が多い.

胸膜病変

 10~50%で好酸球性胸水を合併する.

▼疫学

 わが国における有病率は17.8人/100万人/年と推定され,40~60歳代に好発し,やや女性に多い.

▼診断

 わが国では診断基準が提案されており,これに基づいて診断されることが多い〔第13章「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症」の項の表13-19を参照〕.ポイントは,気管支喘息,アレルギー性鼻炎が先行し,その後,好酸球増加,血管炎症状が出現することである.

自他覚症状

 発熱,体重減少などの全身症状に加え,多関節痛,筋肉痛,紫斑などがみられる.多発性単神経炎による神経症状はほぼ必発である.時に,消化管病変による腹部症状(腹痛,下血など),呼吸器病変による呼吸器症状(咳嗽,息切れなど)を呈する.

血液検査

 赤沈上昇,CRP高値などの炎症所見に加え,末梢血好酸球数が増加する.IgE上昇もしばしば認められる.抗好中球細胞質抗体(antineutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)の1つであるミエロペルオキシダーゼに対する抗体(MPO-ANCA)が40~70%で検出される

画像所見

 肺胸膜病変は多彩な画像所見を呈する.慢性好酸球性肺炎に似た斑状の濃厚影や,急性好酸球性肺炎様のすりガラス

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