診療支援
治療

胸部CT
副島 研造
(慶應義塾大学教授・臨床研究推進センター)

●胸部CTにおいては,一般的に肺野条件と縦隔条件を評価する.肺野条件においては肺野の病変や肺血管がよく表示され,縦隔条件においては肺野は真っ黒に表示されるが,縦隔の大血管やリンパ節,胸壁の軟部組織などがよく表示される.肺野条件で認められる肺野の異常所見においては,陰影の分布と陰影パターンが重要で,疾患により特徴的なパターンを呈する(表2-55)

●一般的に粒状影は5mm未満,結節影は3cm未満,腫瘤影は3cm以上の充実性陰影に対して用いられる.孤立性の結節影や腫瘤影では,良性か悪性かの鑑別が重要となるが,大きさでは小さいほど,形状では円形に近いほど,辺縁では平滑で鮮明なほど良性の可能性が高く,逆に大きく,不規則な形状で,辺縁が不整で不鮮明な陰影では悪性の可能性が高くなる.さらに悪性では胸膜陥入像や血管・気管支の引き込み像,spiculaやnotch所見を認める.空洞を有する場合も,良性では壁の厚さが均一だが,悪性では不均一で厚いのが特徴である.一方,非充実性のすりガラス影を呈する孤立性陰影は,悪性度の低い高分化肺腺癌ないし異型腺腫様過形成(AAH)であることが多い.

●びまん性陰影については,高分解能CTを用いて,1~2cm大の立体構造からなる小葉単位で観察することが重要である.小葉には中心を走る肺細動脈と伴走する細気管支があり,辺縁は肺静脈とリンパ管が取り巻く構造となっている.小葉中心性分布をきたす疾患は,細気管支に沿って炎症が波及するびまん性汎細気管支炎(DPB)や間質性肺炎に分類される過敏性肺炎などがある.小葉辺縁性分布の病変には,肺水腫や中心静脈閉塞症でみられる平滑な小葉間隔壁の肥厚,癌性リンパ管症やサルコイドーシスでの不整な小葉間隔壁の肥厚,さらに特発性肺線維症における肺末梢における線状影などがある.汎小葉性分布は,多くの間質性肺炎におけるすりガラス影で認められる

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