診療支援
治療

2 種類と分析法
古川 哲史
(東京医科歯科大学・難治疾患研究所・生体情報薬理学教授)

▼種類

 正常洞調律では,1分間に50~100回,規則正しい心臓の興奮が起こる.これから逸脱した心臓の調律を不整脈という.不整脈には,脈が遅くなる徐脈性不整脈(1分間に50回以下),脈が速くなる頻脈性不整脈(1分間に100回以上),本来興奮するべきタイミングより早いタイミングで興奮する期外収縮がある.

 不整脈の分類は,主に2つの観点から行われる.1つは不整脈が起こる部位,もう1つは不整脈の性質あるいは重症度である.これを反映して不整脈の名前は,

 不整脈が起こる場所+不整脈の性質あるいは重症度

という構成をしている.

 徐脈性不整脈は,主に特殊刺激伝導系の異常によって起こり,次の2つがある.

●洞結節の機能不全→洞不全症候群

●房室結節の伝導障害→房室ブロック

 頻脈性不整脈・期外収縮の起こる場所は,心房性(あるいは上室性),心室性の2つに分けられる.洞結節・心房・房室結節・His束で起こる不整脈がしばしば区別できない場合があるので,これらをひっくるめて上室性とよぶ.不整脈の重症度はいろいろな観点で規定できるが〔本章「重症度評価の考え方」の項()参照〕,頻脈性不整脈の名前をつける際には次に示す興奮頻度による重症度の分類が用いられる.

●興奮頻度100~250/分→頻拍

●興奮頻度250~350/分→粗動

●興奮頻度350/分以上→細動

 期外収縮も同様に,心房期外収縮(上室期外収縮)と心室期外収縮に分けられるので,頻脈性不整脈と期外収縮は,2(不整脈が起こる部位)×4(不整脈の重症度)=8タイプに分けることができる(図3-22)

▼分析法

 不整脈の分析は基本的に体表面心電図で行われる.不整脈の詳細な発生場所まで分析する必要がなければ,必ずしもすべての12誘導を記録する必要はない.不整脈の種類を知るだけであれば,P波が見やすく不整脈の診断に適しているⅡ誘導あるいはV1誘導の心電図を長めに記録す

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