診療支援
治療

1 肥大型心筋症
hypertrophic cardiomyopathy(HCM)
坂田 泰史
(大阪大学大学院教授・循環器内科学)

疾患を疑うポイント

●心電図での異常Q波,ST-T変化,陰性T波,左側胸部誘導の高電位などの異常所見.

●心エコー,MRIなどの画像診断にて非均等型の左室壁肥厚所見.

●HCMの家族歴.

学びのポイント

●閉塞性か非閉塞性かで治療法が全く異なる.閉塞性の場合は,薬物治療のみならず,圧較差を引き起こす原因である肥大心筋に対し,心筋菲薄化をもたらす経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA)と外科的中隔心筋切除術を考慮する.

●若年突然死をきたす疾患.突然死の危険因子を有する症例には,植込み型除細動器を考慮する.

▼定義

 ①左室ないしは右室心筋の肥大と②心肥大に基づく左室拡張能低下を特徴とする疾患群.臨床的に,心エコー検査もしくは心臓MRIで15mm以上の最大左室壁厚(家族歴がある場合は13mm以上)で定義される.

▼病態

 肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy:HCM)の約60%は家族歴

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?