▼定義と分類
本邦では1970年に「特発性心筋症」という名称が提唱された.2005年の『心筋症─診断の手引きとその解説』のなかで,特発性心筋症は「高血圧や冠動脈疾患などの明らかな原因を有さず,心筋に病変の首座がある一連の疾患」〔拡張型心筋症,肥大型心筋症,拘束型心筋症,不整脈原性右室心筋症,家族性突然死症候群,ミトコンドリア心筋症,心Fabry(ファブリー)病,たこつぼ心筋障害〕,一方,特定心筋症は「原因または全身疾患との関連が明らかな心筋疾患」と定義された.特定心筋症は,虚血性心筋疾患,弁膜性心筋疾患,高血圧性心筋疾患,炎症性心筋疾患,代謝性心筋疾患(グリコゲン蓄積性心筋症,Fabry病,脚気心など),膠原病,心サルコイドーシス,筋ジストロフィー,Noonan(ヌーナン)症候群,アルコール性,薬剤性心筋障害(アドリアマイシン心筋症),周産期心筋症などである.
2006年のAHA(米国心臓