診療支援
治療

【1】心筋症総論
cardiomyopathy
森田 啓行
(東京大学大学院講師・循環器内科学)
小室 一成
(東京大学大学院教授・循環器内科学)

▼定義と分類

 本邦では1970年に「特発性心筋症」という名称が提唱された.2005年の『心筋症─診断の手引きとその解説』のなかで,特発性心筋症は「高血圧や冠動脈疾患などの明らかな原因を有さず,心筋に病変の首座がある一連の疾患」〔拡張型心筋症,肥大型心筋症,拘束型心筋症,不整脈原性右室心筋症,家族性突然死症候群,ミトコンドリア心筋症,心Fabry(ファブリー)病,たこつぼ心筋障害〕,一方,特定心筋症は「原因または全身疾患との関連が明らかな心筋疾患」と定義された.特定心筋症は,虚血性心筋疾患,弁膜性心筋疾患,高血圧性心筋疾患,炎症性心筋疾患,代謝性心筋疾患(グリコゲン蓄積性心筋症,Fabry病,脚気心など),膠原病,心サルコイドーシス,筋ジストロフィー,Noonan(ヌーナン)症候群,アルコール性,薬剤性心筋障害(アドリアマイシン心筋症),周産期心筋症などである.

 2006年のAHA(米国心臓協会)定義では「心筋症は機能的・電気的機能不全を伴う一群の心筋疾患で,通常不適切な心室肥大または拡張をきたし,それはさまざまな原因によるが遺伝性であることも多い」とされ,病変の首座が心臓にある心臓原発の一次性心筋症と全身疾患における心筋病変である二次性心筋症とに大別された.一次性心筋症はさらに遺伝性,混合性,後天性に分類されている(表3-23)

 このように分類によって細部はやや異なるが,一般に,特発性心筋症は除外診断の後に診断を確定できる心筋の構造的,機能的異常をきたす心筋原発の疾患群,一方,特定心筋症は全身疾患の部分症としての心筋病変である.

▼診断

 心エコー検査と心臓MRI検査は心筋症診断に必須の検査である.二次性心筋症の鑑別には心筋生検が重要である.心アミロイドーシス(コンゴレッド染色で心筋間質が橙赤色に染色され,これを偏光顕微鏡下で観察するとapple greenの偏光を呈する)

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