診療支援
治療

2 心タンポナーデ
cardiac tamponade
倉林 正彦
(群馬大学大学院教授・循環器内科学)

疾患を疑うポイント

●心囊液の貯留で,若年~高齢者に発症しうる.

●急性心膜炎を起こす原因と共通している.

●呼吸困難感を訴える患者で,下腿浮腫,顔面浮腫,腹水など右心不全徴候を認める場合に本疾患を疑う.

学びのポイント

●心囊液貯留の量とともに速度によって症状の発症の仕方は異なる.急激な貯留の場合には,少量の心囊液貯留であっても呼吸困難や血行動態の破綻が急激に起こる.緩徐に貯留した場合,週~月単位で症状が出現する場合もある.

●心電図で低電位や電気的交互脈,心エコーにて心囊液貯留を認める.

●心囊穿刺により心囊液の性状(漏出性,滲出性)を鑑別する.

●迅速な心囊穿刺,あるいは手術によって,心囊液をドレナージする.

▼定義

 心膜液貯留により,静脈還流が障害され,心室充満低下と心拍出量低下を生じた病態.

▼病態

 静脈還流の障害により,静脈圧上昇,心室充満低下,心拍出量低下が起こる.代償機構として心拍数増加と末梢

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?