診療支援
治療

3 大動脈弁輪拡大
annuloaortic ectasia(AAE)
中谷 敏
(大阪大学大学院教授・機能診断科学)

疾患を疑うポイント

●胸部X線で上行大動脈の拡大をみたら疑う.

●無症状であっても精査が必要.

学びのポイント

●Marfan症候群や二尖弁では弁輪拡大の可能性を考えて精査.

●進行する可能性があるので経時的なフォローが必要.

●大動脈弁逆流の重症度評価と中心性逆流ジェットかどうかの判断は治療法決定に重要.

▼定義

 大動脈弁輪および大動脈基部の拡大をいう.組織学的には大動脈壁中膜の囊胞状壊死であり,中膜の弾性線維の変性,断裂,減少を生じる.このため大動脈壁が脆弱になり,内腔の圧によって大動脈弁輪部や大動脈基部が拡大し,その結果,大動脈弁の三つの弁尖の接合が浅くなって大動脈弁逆流を生じる.よく知られているのはMarfan(マルファン)症候群に合併するものであるが,二尖弁,Ehlers-Danlos(エーラス-ダンロス)症候群や妊婦,高血圧,弁膜症でも認められる.しかし原因不明の大動脈弁輪拡大も少なくない.

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